座談会「素描をめぐって」を開催しました


只今開催中の『はじまりのかたち−素描−』関連イベント、座談会「素描をめぐって」を4/4(木)に開催しました。
本学美術学科の油画・日本画・デザインから各コースの教員12名がずらりと揃い、「素描」についての意見交換が行われました。






まずは、本学美術学科が開学から続けている1年次の最初の課題「樹根デッサン」について伺いました。この課題は、部屋に置かれたいくつかの樹根から一つを選び、約1ヶ月かけて鉛筆だけで描き上げます。これには、受験の時に鍛えられた短時間でのデッサンから離れ、対象と向き合う時間から自分と向き合う時間へと移行させる目的があるそうです。




続いて、画家やデザイナーとしても活動されている教員の制作プロセスについて伺いました。
日本画は基本的な型(写生→小下図→大下図→本画)があり、それを学生たちも学びます。その通りの方法で描かなくてはいけない、というわけではないそうですが「型破りができるのは、型を学んでいるから。それがなければ型なし。」という言葉は基本の大切さがよく分かり、目からウロコでした。




デザイナーには作り手・発注者・完成品を受け取る人の、3つの視点があるそうです。自分だけでコントロール出来ない場合もあり、だからこそ割り切れることもあるという客観性。その中でも自分らしさを表していきたい、「とにかく手を動かしながら思考して、そのことがアイディアを出す発想へと繋がる」という話は、デザインだけにとどまらず、全ての創作に共通することだと思いました。





一方で、油画の教員からは「わがまま」「オリジナリティ」という言葉が多く聞かれました。自分の好きにすることは一見自由なようで、全てを自分が引き受けなくてはいけません。時には悩み、長い歴史の中でうまれた作品や、身近な作品まで様々な影響を受けながら、「世の中に生み出すものは自分の手だけで生み出せるものにしたい」という言葉は熱かったです。




教員として出す課題の中では、学生たちを見守り、揺さぶりながら、より充実した時間と経験となるように。
作家・デザイナーとしてのそれぞれの経験は、多くの人とのコミュニケーションの中で、また自問自答の思考と発想を繰り返しながら、作り続けることをやめなかったということ。
基礎となる素描から、制作のプロセス、経験等々…各コースの垣根を越えて貴重なお話をたくさん伺うことができました。
先生方、ご来場くださった皆様、どうもありがとうございました。




続いて4/13(土)には「沈黙研究会」、4/28(日)ワークショップ「滲みからはじまる世界」と予定しております。皆様のご参加、どちらもお待ちしております!




<展覧会概要>
「はじまりのかたち ー素描ー」  

2019年 3月2日(土)〜 5月6日(月・祝)

開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日(祝日開館)


造形作家やデザイナーとして活躍する教員の素描を、学生の作品とあわせて広く展示します。また、石膏や写生デッサン、下図といった従来の素描展での展示内容に加え、準備段階のスケッチや構想メモ、アイディアノートや写真によるメモ、作業途中の修正指示をも幅広く「素描」としてとらえなおして提示します。


【会期中イベント】
◎「沈黙研究会」日本文学科教員 藤本真理子×美術学科教員 西嶋亜美
4月13日(土)16:00〜
内容:ことばと美術の分野横断的な立場から、「無」をキーワードに素描と展覧会を読み解きます。
参加無料・予約不要

◎ワークショップ「滲みからはじまる世界」
4月28日(日)14:00〜
講師:菅原瑶子
内容:滲んだ絵の具のかたちをはじまりとして、そこから見つかる世界を描きます。
参加費:500円
※ご予約・お問い合わせは当館まで(0848-20-7831)









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