ワークショップ「滲みからはじまる世界」

4月28日(日)14時より、ワークショップ「滲みからはじまる世界」を開催いたしました。展覧会タイトル「はじまりのかたち」にちなみ、絵の具の滲みをきっかけにした作品制作をしている、菅原瑶子さんを講師にお招きして制作を一緒に体験しました。
みなと祭を楽しみながら来てくれた子どもたちが、展示をゆっくりみた後に、ワークショップのはじまりです。





天気も良かったので、まずは美術館の庭に出て、紙の上に赤・青・黃の3色の絵の具を溶いた水で滲みを作っていきます。始めは慎重に少しずつ絵の具を垂らしていましたが、絵の具が混ざり合ってカラフルになっていくと、気持ちも楽しくなってきて、どんどん積極的に滲みを作りました。3色しか使っていないとは思えないほど、鮮やかできれいですね。





絵の具が乾くまでの間、完成作品を額装するための枠を作ります。様々な種類の色紙を組み合わせたり、切った穴から別の紙を重ねたり、ペンで描き足したり。こちらが思いつかなかった工夫が、続々と飛び出します。






枠が完成した頃、ちょうど絵の具も乾きました。
さぁ、どんな生き物や世界が見えてくるでしょう。ぐるぐると回転させながら、図鑑も頼りに探していきます。





絵の具がにゅっと伸びたところはくちばしに、「鳥に見えるよ、図鑑に載ってるこの鳥にそっくり!」
水滴が弾けたトゲトゲは「ハリセンボンがいる、ライオンも見えた!」
たくさんの形と色は、賑やかな街並みみたい「クラスのお友達の街にする!」
見つけたら嬉しくて思わず声が出て、お互いの絵を見ながら笑い声も絶えません。



たくさん見つけることができたから、色紙を貼った枠に、見つけた生き物たちを切り貼りして完成です。
枠も滲みも生き物も、全部自分で作って見つけて描いた作品は、とびきり素敵です。
嬉しそうに見せてくれながら「楽しかった、またやりたい!」と言ってくれたことが、とても嬉しかったです。






いろいろな作品を見て、講師の先生とお話して、自分でも作品を作って。今回のワークショップによって、美術館が身近になったり、ものづくりを楽しむきっかけになってくれたら幸いです。とても楽しい時間を、ありがとうございました。

「はじまりのかたち −素描− 」は、5月6日まで毎日開館しております。皆さまのご来館、お待ちしています。




<展覧会概要>
「はじまりのかたち ー素描ー」  

2019年 3月2日(土)〜 5月6日(月・祝)

開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日(祝日開館)

造形作家やデザイナーとして活躍する教員の素描を、学生の作品とあわせて広く展示します。また、石膏や写生デッサン、下図といった従来の素描展での展示内容に加え、準備段階のスケッチや構想メモ、アイディアノートや写真によるメモ、作業途中の修正指示をも幅広く「素描」としてとらえなおして提示します。










ワークショップを開催します。


4月28日(日)14時より、ワークショップ「滲みからはじまる世界」を開催いたします。
今日はワークショップの試作・準備を行いました。






赤・黄・青の絵具を溶いた色水を、自由に紙に流していきます。







3色が紙の上で混ざり合い、様々な色の滲みが出来上がりました。
こちらを乾燥させます。





乾燥させたものの中から、こちらの一枚を使いました。
回転させ、様々な角度から観察し



この向きから見た所、滲んだ絵具の形の中から鳥と魚を見つけました。
イメージした姿を、色鉛筆やパステルを使って描き込んでいきます。





描画後



上に魚、下に鳥の頭があります。






色紙で周りを飾り付け、額縁に入れて完成です。





絵の具の流れ方や量によって、形や色は変化します。
全く同じ滲みが現れる事はありません。
自分にしか描けない、オリジナルの一枚を一緒に作ってみませんか?






ワークショップ「滲みからはじまる世界」
日時:2019年4月28日(日) 14時より
内容:滲んだ絵具のかたちをはじまりとして、そこから見つかる世界を描きます。
参加費:500円
※ご予約・お問い合わせは当館まで(0848-20-7831)
   当日飛び入り参加も大丈夫です。




<展覧会概要>
「はじまりのかたち ー素描ー」  

2019年 3月2日(土)〜 5月6日(月・祝)

開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日(祝日開館)
※特別開館4月4日(木)

造形作家やデザイナーとして活躍する教員の素描を、学生の作品とあわせて広く展示します。また、石膏や写生デッサン、下図といった従来の素描展での展示内容に加え、準備段階のスケッチや構想メモ、アイディアノートや写真によるメモ、作業途中の修正指示をも幅広く「素描」としてとらえなおして提示します。

【会期中イベント】
◎ワークショップ「滲みからはじまる世界」
4月28日(日)14:00〜
講師:菅原瑶子
内容:滲んだ絵の具のかたちをはじまりとして、そこから見つかる世界を描きます。
参加費:500円
※ご予約・お問い合わせは当館まで(0848-20-7831)









「はじまりのかたちー素描ー」作品紹介


3月2日から開催している「はじまりのかたちー素描ー」展は、会期も残りわずかとなりました。
本展は学生の授業作品の中から「はじまりのかたち」に沿った作品を選出し、今回は特別編として教員の作品も展示しています。



こんにちは、美術館スタッフのMです。
私はこの素描展に鑑賞者として既に5回ほど足を運んでいますが、来るたびに新しい発見があります。何と言っても、毎回作品数の多さに圧倒されます。壁だけでなく、台や棚や映像機材、使えるものやスペースはとことん使って言葉通り充実した展示になっていることが、本展の最大の魅力ではないでしょうか。本日はそんな作品群の中から、私が気になったものをいくつか取り上げてご紹介致します。


まずは在学中の学生さんの作品をご紹介します。油画コースの授業のなかで制作された、針金を使った作品です。よくよく見ると「止水栓 Y .W .W」という文字が読めると思います。針金でつくることで文字がふわっと丸みを帯びているのがかわいらしく、ここまでちゃんと読めるように作ったのもあっぱれ!と思いました。「創味シャンタン」もありましたが、うまく写真を撮れなかったので、気になる方はぜひ自分の目で確かめてみてください。



2人目は、日本画コースの学生さんの作品です。スケッチブックからとても楽しそうなうさぎさんを見つけました。「HAHAHAHAHAHAHA」と書かれているのが何ともコミカルで、見ていて楽しい気分になります。周囲には技術的なメモがたくさん書かれていて勉強熱心な部分とうさぎさんの温度差が面白いです。他の絵を見てみると、素早く的確に捉えるのがとても上手な方で、動物や人物の繊細な表情が簡単なスケッチからでも伝わってきました。見応え十分なスケッチブックです。





3人目は、デザインコース教授の野崎先生の作品です。こちら、『人』のようなキャラクターが描かれています。水たまりか何かをぴょんっと飛び越えて、そのまま軽やかな足取りでどこかにいってしまいそうな『人』だと感じました。無表情でも頭の中では楽しい音楽がかかっていそうです。どうやら見ているこちら側には関心がなさそうですが……ちょっと後ろについて行ってみたい気がします。


4人目は、油画コース教授の小野先生の作品です。人の気配のない展示会場の模型や資料などの中に、ひっそりと楽しそうな人たちがいました。懐かしい歌が聞こえてきそう。ここだけ小さなユートピアのようです。これは展覧会の打ち合わせ中に描かれたらくがきでしょうか?緻密な作品の中に、ゆるっと描かれた人々がいることで、先生の遊び心が見えました。


最後に私、Mの作品を紹介させていただきたいと思います。この作品は私の素描の中でも一番のお気に入りです。特にまゆ毛がのびのび描けました。さて、突然ですがクイズです!!これは何をモチーフに描いたものでしょうか?ヒントは「おさんぽ」です。想像をふくらませてみてくださいね!


いかがだったでしょうか。今回、私の好みでご紹介させていただいた作品はほんの一部で、他にもたくさんの魅力あふれる素描が展示されています。
本展はゴールデンウィーク最終日の5月6日(月)まで開催しております。また、4月28日(日)には講師に菅原瑶子さんを迎え、「滲みからはじまる世界」と題したワークショップを行います。何度来ても楽しめる展示になっていると思いますので、初めての方はもちろん、一度来たという方もお時間があればまた当館へお越しくださいませ!



<展覧会概要>
「はじまりのかたち ー素描ー」  


2019年 3月2日(土)〜 5月6日(月・祝)

開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日(祝日開館)
※特別開館4月4日(木)

造形作家やデザイナーとして活躍する教員の素描を、学生の作品とあわせて広く展示します。また、石膏や写生デッサン、下図といった従来の素描展での展示内容に加え、準備段階のスケッチや構想メモ、アイディアノートや写真によるメモ、作業途中の修正指示をも幅広く「素描」としてとらえなおして提示します。

【会期中イベント】
◎ワークショップ「滲みからはじまる世界」
4月28日(日)14:00〜
講師:菅原瑶子
内容:滲んだ絵の具のかたちをはじまりとして、そこから見つかる世界を描きます。
参加費:500円
※ご予約・お問い合わせは当館まで(0848-20-7831)


クイズの答え:池









「沈黙研究会」を開催しました

只今開催中の『はじまりのかたち−素描−』関連イベント、「沈黙研究会」を4/13(土)に開催しました。
本学美術学科教員の西嶋亜美と、日本分学科教員の藤本真理子による、公開研究会です。
西嶋先生と藤本先生は「沈黙研究会」として、ことばと美術を分野横断しながら「無」について意見交換をしたり、他の教員に話を聞いたりと、普段より研究活動をされています。
今回は、展示されている「素描」作品にみられる「沈黙」について、また美術館という場所について再考する試みを行ってくださいました。研究会の内容をご紹介します。




まず、「沈黙」として思い浮かぶのは、会話中にお互いの言葉が途切れる瞬間でしょうか。とすると、沈黙とは「音」だけを表すものでしょうか?ョン・ケージが1952年に作曲した「4分33秒」という作品があります。これは、指揮者がタクトを振ることはなく、オーケストラの面々も楽器を用意してはいるものの、吹かず、弾かず、叩かずに、4分33秒後に演奏は終了します。演奏者や観客の服の擦れる音、椅子の軋み、咳…演奏中は完璧な無音ではありません。流れる時間を切り取ることを、沈黙というのであれば、美術でも切り取りとしての「沈黙」はあり得ることではないでしょうか。





展示作品の中に、風景のスケッチがあります。これは眼前に広がる風景を作家の目によって切り取って描かれます。また、10センチ四方の四角の中に、部屋の中の部分を切り取って描く授業課題の作品もあります。インスタグラムも普及している現在では、切り取ることが当たり前になっていますね。
完成品が切り取られてしまったこともあるそうで、『佐竹本三十六歌仙絵』という絵巻物は、あまりに高額すぎて買い手がつかず、切って売られたそうです。(今年の10月、京都国立博物館の特別展『流転 100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美』で集結)洋画では、ドガがマネに『マネとマネ婦人像』を描いて贈ったのですが、婦人の描かれ方が気に入らず、マネが顔の部分を切ってしまったそうです。
「切り取られた外に広がる世界はどうだったのだろう。切り取られたパーツには何が描かれていたのだろう。」外側のことを知りたくなります。

文学における「切り取り」には、文字数の制限があります。
SNSで普及しているツイッターは、限られた文字数の中で言葉を発信していきます。俳句や短歌も、限られた文字数の中で情景や心情を表していますね。言葉の一つ一つから読み手が想像を膨らませることが出来る。ということは、切り取ることで「余白」がうまれます。

枠があるからこそ、外側ができて余白が生まれる。
「沈黙」とは、「切り取り」や「余白」でもあると、広く捉えることができたところで、私達が今いる「美術館」という場所について考えていきました。
「少し体を動かしてみましょうか。」との声掛けで、メジャーが出てきました。あなたは作品をみる時に、どれくらいの距離で見ますか?テクニックを真似したいと考えた時、どこまで近づきますか?等の質問を受けた参加者の距離を測ります。
始めは遠くから→274cm その後近づいて→21cm 
テクニックを真似したい→5cm  キャプションを読みたい→70cm



ルーペを使って、細部を観察してみましょう。筆圧の強弱や線の走る速さ、色の複雑な重なりを見ることができます。それぞれの道具を手に、皆さまとても楽しそうに鑑賞されていました。



今はイベント中なので、館内でワイワイと過ごすことが許されていますが、美術館では静かに過ごさなくてはいけない敷居の高い場所だと考えられています。作品を見ながら知識や感想を語り合いたい方のために、おしゃべりOKの日を設定する所も増えてきているようです。音声ガイドも俳優や声優の声で解説を聞けるようになったり、写真撮影が可能であったり、美術館が開かれた場所になるような工夫もみられています。その動きを歓迎する方もいれば、歓迎しない方もいるので、展覧会の内容だけでなく美術館としての方針や個性を考えていくことも必要となっているように感じました。


具体例を織り交ぜることで分かりやすく、「沈黙」というキーワードから豊かに広がった、盛りだくさんであっという間の楽しい時間でした。藤本先生・西嶋先生・ご参加くださった皆さま、どうもありがとうございました。
毎月第一月曜日に、尾道市立大学サテライトスタジオで開催されている『尾道文学談話会』の中でも、沈黙研究会の活動に参加することができますので、こちらもぜひご参加ください。
『絵を語る作家たち−近代日本における絵画と文学のあいだ−』
8月5日(月)18:30〜20:00
予約不要・参加無料
尾道市立大学サテライトスタジオ(尾道市土堂1丁目8-5/尾道駅より東に徒歩5分)




<展覧会概要>
「はじまりのかたち ー素描ー」  

2019年 3月2日(土)〜 5月6日(月・祝)

開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日(祝日開館)


造形作家やデザイナーとして活躍する教員の素描を、学生の作品とあわせて広く展示します。また、石膏や写生デッサン、下図といった従来の素描展での展示内容に加え、準備段階のスケッチや構想メモ、アイディアノートや写真によるメモ、作業途中の修正指示をも幅広く「素描」としてとらえなおして提示します。


【会期中イベント】
◎ワークショップ「滲みからはじまる世界」
4月28日(日)14:00〜
講師:菅原瑶子
内容:滲んだ絵の具のかたちをはじまりとして、そこから見つかる世界を描きます。
参加費:500円
※ご予約・お問い合わせは当館まで(0848-20-7831)









座談会「素描をめぐって」を開催しました


只今開催中の『はじまりのかたち−素描−』関連イベント、座談会「素描をめぐって」を4/4(木)に開催しました。
本学美術学科の油画・日本画・デザインから各コースの教員12名がずらりと揃い、「素描」についての意見交換が行われました。






まずは、本学美術学科が開学から続けている1年次の最初の課題「樹根デッサン」について伺いました。この課題は、部屋に置かれたいくつかの樹根から一つを選び、約1ヶ月かけて鉛筆だけで描き上げます。これには、受験の時に鍛えられた短時間でのデッサンから離れ、対象と向き合う時間から自分と向き合う時間へと移行させる目的があるそうです。




続いて、画家やデザイナーとしても活動されている教員の制作プロセスについて伺いました。
日本画は基本的な型(写生→小下図→大下図→本画)があり、それを学生たちも学びます。その通りの方法で描かなくてはいけない、というわけではないそうですが「型破りができるのは、型を学んでいるから。それがなければ型なし。」という言葉は基本の大切さがよく分かり、目からウロコでした。




デザイナーには作り手・発注者・完成品を受け取る人の、3つの視点があるそうです。自分だけでコントロール出来ない場合もあり、だからこそ割り切れることもあるという客観性。その中でも自分らしさを表していきたい、「とにかく手を動かしながら思考して、そのことがアイディアを出す発想へと繋がる」という話は、デザインだけにとどまらず、全ての創作に共通することだと思いました。





一方で、油画の教員からは「わがまま」「オリジナリティ」という言葉が多く聞かれました。自分の好きにすることは一見自由なようで、全てを自分が引き受けなくてはいけません。時には悩み、長い歴史の中でうまれた作品や、身近な作品まで様々な影響を受けながら、「世の中に生み出すものは自分の手だけで生み出せるものにしたい」という言葉は熱かったです。




教員として出す課題の中では、学生たちを見守り、揺さぶりながら、より充実した時間と経験となるように。
作家・デザイナーとしてのそれぞれの経験は、多くの人とのコミュニケーションの中で、また自問自答の思考と発想を繰り返しながら、作り続けることをやめなかったということ。
基礎となる素描から、制作のプロセス、経験等々…各コースの垣根を越えて貴重なお話をたくさん伺うことができました。
先生方、ご来場くださった皆様、どうもありがとうございました。




続いて4/13(土)には「沈黙研究会」、4/28(日)ワークショップ「滲みからはじまる世界」と予定しております。皆様のご参加、どちらもお待ちしております!




<展覧会概要>
「はじまりのかたち ー素描ー」  

2019年 3月2日(土)〜 5月6日(月・祝)

開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日(祝日開館)


造形作家やデザイナーとして活躍する教員の素描を、学生の作品とあわせて広く展示します。また、石膏や写生デッサン、下図といった従来の素描展での展示内容に加え、準備段階のスケッチや構想メモ、アイディアノートや写真によるメモ、作業途中の修正指示をも幅広く「素描」としてとらえなおして提示します。


【会期中イベント】
◎「沈黙研究会」日本文学科教員 藤本真理子×美術学科教員 西嶋亜美
4月13日(土)16:00〜
内容:ことばと美術の分野横断的な立場から、「無」をキーワードに素描と展覧会を読み解きます。
参加無料・予約不要

◎ワークショップ「滲みからはじまる世界」
4月28日(日)14:00〜
講師:菅原瑶子
内容:滲んだ絵の具のかたちをはじまりとして、そこから見つかる世界を描きます。
参加費:500円
※ご予約・お問い合わせは当館まで(0848-20-7831)