「教員展」油画教員の作品ご紹介

 2回目となる今回は「油画」教員の作品について、展覧会の様子を一部お届けします。是非、最後までご覧いただけますと幸いです。


■橋野先生

Fog

柔らかい色とシャープな形がとても綺麗です。





Fogのタイトル通り、色から感じる温度感の静かで澄んだ、霧がかった空気が思い浮かびます。楕円形の画面も目を惹きます。同シリーズで、シルクスクリーン(版画の一種)作品もございます。油彩描写とはまた違う魅力があります。合わせてお楽しみください。


■吉田先生

〈かタマり〉

どこかで見覚えがある作品が、、




去年開催した自主企画展「From Soup to Nuts」では当館のお庭に展示した作品です。展示方法によって変化する見え方が面白いです。上の方にある縦ストライプの作品、離れてみると全て黒の線に見えます。

が、近寄ってみると?




一番下の縦線は茶色、その上は灰色と、しっかり塗り分けて描かれた線でした。遠くから見るとただの黒に見えますね。作家本人が一番驚いていました。




これも見ていると、白い丸に黒色の丸がチラチラ見えて驚いた作品。



■矢野先生

〈ながめ〉

目を惹く美しい赤です。鮮やかな色ですが、ずっと眺めていたくなる不思議な魅力のある作品です。



近寄ってみると、反対色が入れられていたり、厚塗りした箇所、削った部分など、様々な発見があります。





ですが、離れてみるとその沢山の要素が混ざり合い、調和しています。

最初、図録作成のため画像では作品を拝見しておりましたが、一番画像と実物の印象の差が大きかった作品です。画像で伝わらないのが本当に残念です。こんな印象的な赤は初めてでした。

前回紹介した日本画教員、鈴木先生〈未来航路〉の近くに展示しておりますが、ならんだ時の色のコントラストが非常に素敵でした。〈未来航路〉のくすんだ緑と、矢野先生作品〈ながめ〉の赤が美しく、個人的にお気に入りポイントです。



■小野先生

〈再編層〉

小野先生は様々なジャンルにアンテナをはり、常に情報をインプット、アウトプットしている印象です。もちろん本もよく読まれており、以前お見かけした際は自分が気になった箇所に付箋をはり、沢山メモもされていました。

よくよく見ると、これは本の表紙でしょうか。



「近代絵画の〇〇たち」?読めるようで読めませんでした。



本の裏表紙のバーコードと思われる要素もあります。




タイトルの〈再編層〉から、複数のイメージを「層」として編成し直したものだと予想しますが、膨大な知識量から、どうやってこの要素を選んだのか気になります。

色の層同士のキレ、配色バランスも美しいです。横並びで9点展示されていますが、単体、シリーズ全体、どちらで鑑賞しても非常に格好いい作品です。



■稲川先生

〈Candid - shot psyche[1]-[50]〉

当館一番奥にある第3展示室。入ってみると、おや?



なにやらモニモニしたものが床に。



表面もキラキラしています。

気になったので先生に作品についてお伺いすると「聞いたら後悔すると思うから言わない(笑)」と、教えてもらえませんでした。非常に気になります、、これはどんな作品なのでしょうか、、



これ以外にも様々なイメージをコラージュしたものが床に広がっています。構成してある1つ1つは日常生活で見かけるものばかりですが、この様にコラージュされると新しい、何か別のものとして認識してしまいます。タイトル〈Candid - shot psyche〉はGoogle翻訳にかけると「率直なショット精神」でした。後悔してもいいので、作品について一回聞いてみたいですね。










お、猫



めりこんだ猫にめりこんでない猫がくっついていました。
油画編、これにておしまいです。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
次回はデザインコースの教員作品をご紹介します。
お楽しみに。



〈 現在開催中 
尾道市立大学美術学科教員展
     新しい日常 −New Normal

2021年 3月6日(土)〜 5月9日(日)
開館時間 10:00 - 18:00
休館日:水・木曜日 ※祝日開館
入館無料

本学美術学科の日本画・油画・デザイン各コースの教員および美術館スタッフの16名による制作・研究を紹介する展覧会。

【会期中イベント】
・座談会「新しい日常と表現」 4月24日(土)17:00〜 当館展示室にて
出展作家数名が「新しい日常と表現」について座談会形式で話し合います。


展覧会開催のお知らせ

段々と春らしい陽気となってきました。

当館では、3月6日(土)より「尾道市立大学美術学科教員展 新しい日常−New Normal−」を開催しています。


今回の「教員展」は、日本画・油画・デザイン各コースの教員および美術館スタッフ16名による作品を展示します。展示作業では、出品教員自らプランを練ったり展示したり。展示作業の補助で入ってくれたアルバイトスタッフの意見が採用された展示もございます。


本展が長期展示となりますので、日本画・油画・デザインと各コースごとに分けてご紹介したいと思います。1回目となる今回は「日本画」教員の作品について、展覧会の様子を一部お届けします。是非、最後までご覧いただけますと幸いです。


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■吉原先生

〈「思い」のかたち 〉

人物の周りに熱帯地域に生息していそうな魚が漂っています。


柔らかいタッチで描かれた作品です。吉原先生は生物(動物・植物など)に造詣が深く、いつも質問すると必ず答えてくださいます。画面いっぱいに描かれた植物や魚も、全て把握しているのではないでしょうか。

そんな先生が、どんな理由でモチーフを選んだのか聞いてみたいです。タイトルから思うに、思い出に関係したものだったりするのでしょうか、、






■中村先生

〈プラハのレストラン

こんなところでチェコ料理を食べられたら最高ですね。

中村先生の作品は、先生が海外へ取材に行った際の街並みが多く描かれている印象です。実際に訪れ、その場でスケッチなどもしているためか、行ったことがない街も中村先生の絵を通してみると不思議と日本とは違った空気を感じます。



〈ドブロブニクの夏〉

斜面に海水浴を楽しむ人物が、画面いっぱいに配置されています。




くすんでいるのに明るく、軽やかな色合いが非常に美しく、魅力的です。(画像だと伝わらないのが残念です、、)

人で賑わう夏の海辺の香りや空気感を感じます。タイトルにある「ドブロブニク」はクロアチアにある都市で、ジブリ作品の「紅の豚」「魔女の宅急便」の舞台としても知られています。



達筆ですね。




■鈴木先生

〈未来航路〉

人物が大きな地球儀を眺めています。
鈴木先生の作品に登場する人物は、中性的な印象を受けます。

くすんだ緑と金箔のコントラストが大変綺麗です。

特に窓の外の質感と色が素敵ですが、これまた画像で伝わらないのがとても残念です。改めて日本画は実際にご覧いただいて感じていただける作品が多いと実感しました。





伝わりますでしょうか、、
どのように描かれたのか伺ってみたいです。




■望月先輩

〈君にだけ見えたり 僕にしか見えなかったり〉

二人の人物が描かれた作品です。池上先生は、目に見えない物(空気・感情など)を自分の作品を通して見える形へ変え、表現している印象です。リボンのようなクルクルがありますが、画面内に独特のリズムを生んでいます。


日本画特有の絵具の色や質感を使い、絶妙に描き分けてある色が綺麗です。例えばただの白ではなく、たくさんの表情を持った白、といいますか。



また、分かりやすい笑顔等ではなく、鑑賞者によって色々な受け取り方のできる表情も魅力の一つです。人物の仕草や揺れる髪からも、様々な感情や場面を想像できますね。



日本画は「岩絵具」という、主に鉱石を砕いた絵具で描かれます。
砂のように粗い粒子から、パウダー状の細かい粒子までありますが、異なる大きさの粒子を重ねる事で日本画独特の質感が生まれます。
作品としてはもちろん、教員作品だからこその完成度の高さ、洗練された技法から、岩絵具、箔などの日本画画材の魅力も感じていただけるのではないでしょうか。




おまけとして、私、職員Uの作品も出品させていただきましたので、少しだけご紹介させていただきます。源氏物語絵巻の現状模写です。場面は「御法」と書いて「みのり」と読みます。




光源氏の最愛の妻である紫上が病となり、源氏、明石中宮に最後の別れを告げる場面です。
よろしければこちらもご覧頂けますと幸いです。




ここまで長々読んでくださった方、ありがとうございました🙇‍♂️
まだまだ感染症の影響で難しいところではありますが、ぜひ、実際に作品をご覧いただけたらと思います。
次回は「油画」教員の作品をご紹介します。
お楽しみに。


〈 現在開催中 
尾道市立大学美術学科教員展
     新しい日常 −New Normal

2021年 3月6日(土)〜 5月9日(日)
開館時間 10:00 - 18:00
休館日:水・木曜日 ※祝日開館
入館無料

本学美術学科の日本画・油画・デザイン各コースの教員および美術館スタッフの16名による制作・研究を紹介する展覧会。

【会期中イベント】
・座談会「新しい日常と表現」 4月24日(土)17:00〜 当館展示室にて
出展作家数名が「新しい日常と表現」について座談会形式で話し合います。