アーティストトークを開催しました

11月2日(土)「In Focus 10 −卒業生の現在−」アーティストトークを開催しました。
会期初日を、3名の作家さんとご来館いただいた多くの方々と賑やかに過ごすことができ、とてもよい始まりとなりました。


まずは第一展示室の高松明日香さんからスタートです。




ご自身を支えている、また影響を受けたと感じる画家として、レオン・スピリアールトとジェニファー・バートレットをご紹介いただきました。好きな画家を知ることは、高松さんを知ることに繋がります。大学生の時の美術史の授業から、多くの画家達が描き続けてきた宗教画の、画家それぞれの捉え方の違いや見る自分の思いが重なることで、絵画の面白さを知ったことも、お話してくださいました。




ご自身の経験からは、自分の描いた絵の中の手と鏡に写った自分の手がよく似ていると思い、自分が見たのか、描いたのか、知っているのか、絵画と生活と自身との境目が渾然とするのを感じたそうです。このお話は、聞いている私達にも高松さんと制作(作品)の過ごした時間の厚みや密度の濃さを感じられるものでした。



続いて第二展示室に移動し、池上望月さんです。




池上さんは、大学2年生の頃から「目に見えないもの」を作品として見えるかたちにすることを、大きいテーマとされています。「目に見えないもの」とは心霊現象などではなく、感情や風、空気、生活の中で考えたことなどです。




「目に見えないもの」は「見せたいもの」でもありますが、鑑賞者によって違う印象が生まれたとしても、鑑賞者のリアルが正解になると話されていました。池上さん自身が小さい頃に人見知りで、人の表情から相手の感情を想像していたそうです。自分が見える表情から想像する感情と、相手が見せている表情と見えない感情を行き来する経験から、自分と第三者の想像力の隔たりにも寛容であるのかなと思いました。



最後は、外薗千里さんです。




外薗さんの展示スペースに入ると、壁一面に広がる大作に目を奪われます。キャンバスに絵を描いている時、キャンバスの四角い画面の外にも描きたい世界が広がっていくと感じたため、自分の好きな形のパネルを作って広げていけば、どんどん描けると思ったことがきっかけで生まれた制作です。展示作業中は壁に描くような感覚で、自分の中に生まれる違和感を一つずつ消していくように、パネルの向きを変えたり、位置を移動させるなど、多くの試行錯誤をしながら作りあげている姿が印象的でした




最近では、広がったイメージを続けるとキャンバスの四角い世界に戻れなくなるのでは、という不安もあり、あえてキャンバスに描いた作品も増えています。だからといって、近作は窮屈な印象になるかというと全くそんなことは感じさせず、筆致や色は伸びやかなままにうごめいています。そうするためにも、キャンバスに描く前に多くのドローイングがされていたり、ひらめきを新鮮なままに閉じ込めるためのスピードを保つために、最善を模索されています。


トーク後も、参加してくれた在学生や卒業生たちから、作家さんたちに質問するための順番待ちが出るほどでした。作家さんご自身から、制作や活動についての話を聞ける貴重な機会を設けることができてよかったです。高松さん、池上さん、外薗さん、どうもありがとうございました。

11月9日(土)、24日(日)、12月8日(日)それぞれ14時から、当館学芸員によるギャラリートークを行います。まだまだ書ききれないアーティストトークでのお話から、本展のキーワードとなった「連想する絵画」について、お話します。こちらもぜひ、ご参加ください。



「In Focus 10  ー卒業生の現在ー」  
2019年 11月2日(土)〜 12月8日(日)
開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日

【会期中イベント】
◎ギャラリートーク
2019年11月9日(土)・24日(日)・12月8日(日)
それぞれ14:00〜15:00 参加無料
学芸員が展覧会や作品について解説します。









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