大学院進級制作展「我思う、故に」の作品をご紹介!

 こんにちは!春が過ぎ、日中は暖かい日もあれば、雨が降る季節も近づいてまいりましたね。急な暑さに疲れた時や雨の日には雨宿りに、美術館でゆっくり1日を過ごしてみるのもおすすめです。

現在展示中の、本学大学院美術研究科 進級制作展「我思う、故に」は6月2日(日)まで開催しております。現・大学院2年生9名が大学院1年生の時に制作した作品を展示しています。

大学院進級展では、展示計画から広報物デザイン、展示タイトルや展示作業も全て学生で行います。9人で展示する初めての機会に、慣れないこともあったかと思いますが、それぞれ協力しあって展示を完成させてくれました。



今回の展示タイトル「我思う、故に」には、“考えていること自体が疑うことのない私の存在だということ。この展覧会では日々制作において自問自答、試行錯誤を繰り返している私たちの「我あり」の部分に作品を通して触れていただければ幸いです”(フライヤーより引用)という思いが込められています。

それぞれの作品を見て自由に感じ取り、作者自身の考えや想いを想像しながら鑑賞を楽しんでいただけたらと思います。

今回は美術館スタッフTが展覧会について紹介いたします。

第1展示室とお庭には油画、デザイン、2領域の作品が展示されています。





壁や展示台の上にある波紋柄の布は風呂敷の作品です。デザインの学生によるテキスタイルデザイン。こちらは「しずく」をテーマに、風呂敷を結んで袋状にした際の形を水滴に見立て、広げた状態では水面に広がる波紋をイメージして制作したそうです。実際に使用する際の形と広げた時の柄が、リンクしながら姿が変わるのが面白いですね。

青が真っ先に目に飛び込んでくる絵画作品。油画の学生の作品でタイトルは「井」。真上から井戸を覗いたような構図で、周りには草花が覆いかかっている。最初は青の周りに目が行きますが、近くで見ると小さな生き物がたくさん描かれています。紙の貼ってあるところと木の素地、色面と線描、奥行と平面…絶妙なバランスの画面構成が魅力的です。

第2展示室には日本画・油画・デザイン、3領域の作品が展示されています。第3展示室ではデザインの学生による映像作品がご覧いただけます。



第2展示室のデザインの学生は、古民家に住む人を題材に、イラストレーション作品を制作しています。よく見ると部屋の外と内側が同じ絵の中で表現されています。紙の重なりによって奥行きがあるのも面白く、古民家ならではの欄間なども描かれています。









油画の学生は、版画だったり画面に様々な素材を重ねて1つの作品になっていたり、基地のような空間で作品を鑑賞できたり…多様な表現に溢れています。今回の展示のテーマである「我あり」の部分を存分に感じられる展示空間になっているのではないでしょうか。






日本画の学生は模写と自由制作が展示されています。日本画の淡い色彩や箔などの素材を表現によって使い分けて制作していますね。日本画画材は岩絵具の荒さ細かさだけでも表現の幅が広がり、画面の見え方も変わってきます。日本画を淡白に感じる方も居られるかもしれませんが、画面構成や素材の扱いによってその絵の印象が変わる繊細な絵画領域なのです。院生2人の作品もそれぞれ、日本画画材での表現に創意工夫を感じられます。



第3展示室の映像作品は、CGで制作されたアニメーション作品になっています。幾何学的な形で背景やモチーフが描かれています。筆者はCGについては詳しくないのですが、独特な動きの滑らかさとテンポ感が見ていて癖になるなと感じました。

ここまでご紹介記事をご覧いただきありがとうございました!

展示も残すところわずかとなりましたが、皆さまのご来館を心よりお待ちしております。


【開催中】

尾道市立大学 大学院美術研究科 進級制作展「我思う、故に」

会期  :4月27日(土)〜 6月2日(日) 

会場  :MOU尾道市立大学美術館 

開館時間:10:00 - 18:00

休館日 :水・木曜日

入館無料

大学院で専門的に制作活動を行っている日本画・油画・デザイン、3領域の大学院2年生が院1年次の制作を発表します。


【次回】

「 Curriculum-授業作品展-」 

会期  :7月6日(土)〜 8月12日(月・振休) 

会場  :MOU尾道市立大学美術館 

開館時間:10:00 - 18:00

休館日 :水・木曜日

入館無料

1年次から大学院までの日本画・油画・デザインから成る3コースのカリキュラムで制作された作品を展示。美術学科の教育の全体像をご覧いただけます。