白樺美術館の一番大きな展示室に入って、不意をつかれて心を打たれた。
いい展示だなあ、と思った。
松本さんの工房で出番を待っていた作品が喜んでそこにいるようだった。
ひとつひとつの作品の存在感は大きく、とても丁寧で美しいものばかり。
作品が主役の展示。
他に余計なことは何も考えなくてよくて、誰かのにおいもしない、いい展示だ。


また、今回花を使った作品も同時に数点展示している。中さんの作品だ。
松本さんの作品にささやかに心地よく調和している。
展示室全体では、それは大きな大きな存在だ。
作品の展示、いい展示とは。
それは作家がひとりで考えても、上手くいかないことのように思う。
なぜなら、制作しているときは自分自身、意外と冷静でも、
手から作品が放れて、その作品にとってどう展示をするのが一番いいのかを考える時、
少なからず悩みもするし、混乱もする。
どう見せるのが一番いいかを考えるなんて、冷静ではいられなくなる。
そんな中で、そこにもうひとり、別の誰か、展示を客観的に考える誰かが必要で、
その誰かは、作家のこと、作品のことを深く理解しようと努める人間で、
そしてさらに、その人間はいい展示をしたい、と強く思う人間でなければ。
作家はその人間を信頼し、その人間は作家を信頼する。
作品の個人的な部分に与らず、作品の一番いい見せ方を探る。
今回の展示では、白樺美術館のディレクターである三上清仁が、
作家の信頼のおけるそのパートナーとして、松本寛治と展示を手がけた。
三上さんはいい展示をすることを考えて、そして作家である松本さんは三上さんを信頼する。
その信頼関係は、いい展示のための必須の条件のように思った。
松本さんの作品は本当にどれもいい作品だと思う。
シンプルで媚びていない。
ひとたび展示室に入るとからだの奥がふわっとあたたかく緩むのを感じる。
松本さんの手間ひまかけられた作品が、私たちに感じさせるあたたかい何かを味わって頂ければと思う。
今回の「木のしごと - 松本寛治展 - 」では、いつもの白樺美術館が色を変え、
みなさまのお越しをお待ちしております。
ぜひ多くの方にお越し頂きたいと思います。
(白樺スタッフ)
アーティストトークのお知らせ
9 月 11 日 ( 土 ) 15時ー MOU尾道白樺美術館にて