尾道デザイン作品展




 案外、尾道は、尾大生のデザインで彩られてるんだなあ。 

 今回の展示を見てまず思ったこと。 もちろん、不意に街の中で出会う、灯りまつりのポスターデザインが学生の手によるものであったり、何気なく手に取った「広報おのみち」の表紙もまた、そうであることを知らなかったわけではない。
 
でも、そんな風に出くわすことなく、知らないところで世に出ている作品たちも数多くあり、しかも、そのどれもが、実際に商品化されていたり、街のなかに設置されていたりと、「尾道」でしっかり活躍しているのだ。 JA三原から販売されているレモン飲料やゼリー、尾道造酢から出ている酢飲料、和菓子「山本屋」の商品等のパッケージデザイン。グリーンヒルホテル、東尾道彫刻公園のロゴデザイン。因島重井町のPRポスター。尾道市役所の封筒のデザイン。 今回の展覧会で出会う作品たちは、「尾道」を題材につくられ、そして、地域の人々のために活用されている。
  
 展示会場では、その実物の作品と一緒にコンセプトボードが展示してある。それらに目を通しながら作品を見ていくと、共通して気付くことがあった。それは、どれも誰かのためにつくられている、ということだ。 デザインなんだから当たり前のことじゃないか、と言われるかもしれないけれど。 作品の向こうにはいつも「誰か」が見える。 その「誰か」に、こう感じ取ってほしい、という想いがつまっている、そんな作品ばかりだ。 そして、それを伝えるために、どの作者も少なくない時間を割いて、しかるべき手順を踏んで丁寧に仕事を進めたことが読み取れる。 「デザイン」っていう響きって漠然と、(勝手に)デジタルとかスタイリッシュとか、なんだかクールなイメージだったけれど、その制作過程を知るとそんなことはなくて、作者の「誰か」に伝えるための試行錯誤の熱は無視できない。 
 見所は他にもある。今回の展示にはいろいろな表現方法を用いた作品があって、単純に飽きない。 粘土細工のかわいらしい模型や、アニメーション、クレイアニメ、映像、実際市場で売られている商品(今回、美術館でも一部販売中!)、ギター等。
 それらは、「尾道」というテーマを与えられて、生き生きとしている。作者それぞれが、そのテーマへの回答を、それぞれのやり方で導き出す。それにしばられたりだとか、固執したりだとかせずに、各々、「尾道」というテーマを咀嚼し、なおかつ楽しんで制作しているように思う。
 [尾道」と[デザイン」、このふたつの関係は割にいいんじゃないだろうか。



                                白樺スタッフ

  
 
 

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