「はじまりのかたち−素描−」始まりました

3月2日(土)より、「はじまりのかたち−素描−」を開催しています。
本展は二年に一度、学生の授業作品の中から「はじまりのかたち」に沿った作品を選出し、展示していました。今回は特別編として、学生の作品に加え、教員の作品も展示しています。また「素描」について広く捉え直しながら作品を収集し、3章に分類しました。

まず、「素描」と聞いた時に思い浮かぶのは、紙に鉛筆などで描かれた絵ではないでしょうか。
作家が見たものや感じたことを自身の「手」によって描くことで、改めて自分の作品として「目」にすることができます。その一歩から、新たな作品や制作が始まっていきます。
そこから「素描」とは「はじまりのかたち」であると考えました。




第一展示室は、一章「世界に触れる」です。
自然光の入る明るい部屋には、作家が出会ったもの・感じたことを留めておくために描かれた、人物クロッキーや旅の写生ノートなどがあります。美しい・気になる・おもしろい、、、対象に惹かれた一瞬を逃さないために描かれた作品が並びます。







第二展示室は、二章「収集・整理・精製」です。
広くて天井の高い部屋には、壁や台に所狭しと作品が並びます。自分の表現とは何かを探るために100枚を超えて描かれ続けていく作品。CMやロゴマークの制作のために、一つずつ情報を整えていく様子や、日本画制作における数々の手順。長い時間をかけて一枚に向き合う集中力。作品が完成するまでのプロセスや、見過ごしているところはないか、様々なアプローチで探る制作を見ていただくことができます。





また、この度は日本文学科の光原百合教授のご厚意により、同じ芸術である文学の「はじまりのかたち」を知るために、校正原稿を出品していただきました。わずかな言い回しの違いや、言葉選びによって、作品の印象が変わってくる面白さや奥深さを知ることができます。本展の為の書き下ろしで、ある画家の話です。展示空間で読むと、より一層作品世界に入り込むことができます。






第三展示室は、三章「内側を覗く」です。
一番奥にある小さな部屋は、作家の頭の中につながっています。作家の想像力や考え、独自のルールなどを知ることができます。多数のアイデアスケッチや展覧会模型等、頭の中にしまいっぱなしにするのではなく、外に出して見ることで新たな創作のヒントになっていきます。





私達が普段、美術館などで目にするのは完成された作品です。それらの作品ができあがるまでには、こんなにも多くの過程を経ているということ。また、教員や学生たちは普段からどんな物事に出会い、考えながら過ごしているのか。本展ではそれらの多くを知ることができます。
今後の作品鑑賞の際にも、目の前にある作品の裏側や内側を想像しながらみていただくことができれば、より豊かな鑑賞経験になるのではないでしょうか。
面白がりながら、みていただけたら幸いです。4月はイベントも目白押しです。皆さまのご来館お待ちしております。




<展覧会概要>
「はじまりのかたち ー素描ー」  

2019年 3月2日(土)〜 5月6日(月・祝)

開館時間 10:00〜18:00
入館無料
休館日 水・木曜日(祝日開館)
※特別開館4月4日(木)

造形作家やデザイナーとして活躍する教員の素描を、学生の作品とあわせて広く展示します。また、石膏や写生デッサン、下図といった従来の素描展での展示内容に加え、準備段階のスケッチや構想メモ、アイディアノートや写真によるメモ、作業途中の修正指示をも幅広く「素描」としてとらえなおして提示します。


【会期中イベント】
◎「素描をめぐって」
4月4日(木)14:00〜
内容:美術学科教員による座談会

参加無料・予約不要

◎「沈黙研究会」日本文学科教員 藤本真理子×美術学科教員 西嶋亜美
4月13日(土)16:00〜
内容:ことばと美術の分野横断的な立場から、「無」をキーワードに素描と展覧会を読み解きます。
参加無料・予約不要

◎ワークショップ「滲みからはじまる世界」
4月28日(日)14:00〜
講師:菅原瑶子
内容:滲んだ絵の具のかたちをはじまりとして、そこから見つかる世界を描きます。
参加費:500円
※ご予約・お問い合わせは当館まで(0848-20-7831)





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