修了制作展ギャラリートーク

2月11日、当館にて修了制作展ギャラリートークを開催しました。
朝にはまだ雪が残る足元の悪いなか、70名を超える多くの方にご参加いただくことができました。誠にありがとうございました。修了生にとっても、大きな励みになったことと思います。


ギャラリートークは第一展示室から始まりました。


デザインコース修了生の作品は、日本文学科4年生が書いた短歌の歌集とポスターです。
4冊にまとめられた歌集は、様々な形や表紙、文字組みで作られ、ポスターは短冊をイメージした縦長の形です。作家と何度もやり取りを重ねながら、限られた文字数の中で綴られる言葉を読み取り、それを形にしていく工程は、丁寧で慎重な一歩ずつの積み重ねだったのではないでしょうか。「『画家』としての自分らしさと『デザイナー』としての自分の立ち位置を探りながら進めていきました」という話からも、どちらかを妥協することのない制作の苦労は、大きかったのではないかと想像されます。
ポスターの柔らかなグラデーションは見ていてとても心地よく、歌集の中の言葉たちは視線の動きに合わせて静かに胸に届いてきました。




日本画コースの模写は、実際に見た壁画の色を頭に叩き込み、多くの資料を参考にしながら描いていきます。部分に集中するだけでなく、全体を見渡すこと。いくつもの工程を経ながら、本当に少しずつ進めていくことは、自身の忍耐力や根性を鍛える機会となったそうです。朝から晩まで制作した1年近い期間は、自分と向き合う時間でもあったようで、「写すことだけが目的ではなく、自分を知る経験となった」という言葉がとても印象的でした。心身を削るような日々はきっと想像以上に壮絶で、だからこそ得られた経験は計り知れないほど、大きく豊かだろうと思いました。



第二展示室には、日本画・油画コースの自主制作が展示されています。



日本画コースのトークでは、興味を持っていたものを具体的にするため、モチーフを探したこと。なくなってしまうものを描くことで画面の中に留めること。悩んでいる自分の状況を、そのまま画面に投影すること。自分を出さないように、引っかからないような画面を目指すこと。
日本画の柔らかな色彩や、岩絵の具を重ねてできる凹凸の力強さ、絵筆の線から覗くクセの形。人がすっぽり隠れてしまうほどの大きな画面の端々から、画面の前で絵筆を動かす作家(修了生)本人の姿が浮かんでくるようです。





油画コースのトークでは、自分にとってのリアリティとは何かと、頭の中にある景色を描いた作品。自分にしか気づけない日常のふとした瞬間を再構成して描くことで、実物とは離れていくが、瞬間の印象には近づいていく距離。自分のことなのに、曖昧になっていく記憶の不思議な不安感。学生という学びの時期に、苦手なことを克服するために。
油画コースの作品は、展示方法への工夫もそれぞれ見ることができます。一色一色、一筆一筆に必然性を込めながら制作した作品の、最後の仕上げは展示であると教わりました。



本人にしか分からない苦労や葛藤があり、また楽しみや喜びも、この6年間を通してそれぞれにあったと思います。大きな節目を迎えた修了生たちに、これからデザイナーや作家として歩んでいくための豊かな経験と成長ができたんだね、と声をかけてあげられるくらい、頼もしい姿でした。



卒業・修了制作展は2月17日(日)まで、無休で開催しております
ぜひ各会場へ足を運んでいただき、今後の卒業生・修了生の活躍を、引き続きご注目ください。




<展覧会概要>

「尾道市立大学美術学科

第15回卒業制作展・第13回修了制作展」  
2019年 2月8日(金)〜 2月17日(日)
開館時間 10:00〜18:00
入場無料・会期中無休
※当館では、修了制作作品を展示します。

【 他会場 】
<卒業制作展>尾道市立美術館(尾道市西土堂町17-19 千光寺公園内)
開館時間 9:00-17:00 ※ 入館は16:30まで

<修了制作展>尾道市立大学サテライトスタジオ(尾道市土堂1-8-5)
開館時間 10:00-18:00


会期中イベント】
◎ギャラリートークは、全会場とも終了いたしました。

◎スタンプラリー
3館全てのスタンプを集めると、オリジナル缶バッチをプレゼントします!









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